雪だんごの東方考察譚/

雪だんごの東方考察譚

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十六夜咲夜とは結局何者なのか

初めまして。雪だんごと申します。普段は東方Project(以下東方)の原作を嗜みながら時々東方の考察をしている者です。

 さて、今回は東方の中でも特に謎が深く、二次創作での設定も割れがちなキャラクター、十六夜咲夜について考察していこうと思います。

十六夜咲夜の謎

時を操る程度の能力を持つ人間で、普段は紅魔館でメイド長をしている少女、十六夜咲夜。彼女の素性は意外と謎に包まれています。

まず、咲夜の種族「人間」ですが、これは純粋な種族としての人間がほとんど登場しない東方の中でかなり目立っています。しかも、住んでいる所は吸血鬼や魔女といった妖怪の住む「紅魔館」。妖怪が人間を襲うという仕組みの幻想郷ではまず有り得ない構図になっています。

何より、彼女の最大の特徴「時を操る程度の能力」。時を止めたり、物質の時間を急加速させたりといった、まず人間では有り得ない能力を持っています。しかし、ここまで強大な力を持っていながら彼女はあくまでレミリア・スカーレットに仕えるメイド長。

また、彼女はもともと幻想郷の生まれではないらしく、「十六夜咲夜」という名前もレミリアがつけた名前。出身も種族も能力も明らかに怪しいです。ただ、これらを全て説明できる説として、よく言われるものですが十六夜咲夜=元月の民説」というものがあります。 詳しく見ていきましょう。

月との関連性

東方において、月はしばしば強大な存在として描かれることがあります。その月に住む月の民と十六夜咲夜の共通点を上げてみましょう。

能力

咲夜の「時を操る程度の能力」ですが、これは月の民である蓬莱山輝夜「永遠と須臾を操る程度の能力」と酷似しているとよく言われることがあります。
永遠は時の止まった世界とほぼ同意義。須臾を操るのは人間の認識できない一瞬を操るもので、これは咲夜が止まった世界で行動するものと仕組みこそ違えど似ているものがあります。

また、能力面での月との関連性は主人にも表れています
月の神霊、稀神サグメ。紅魔館の主人、レミリア・スカーレット。この二人は高い立場というところで一致していますが、実は能力も酷似しています。

サグメの能力は「口に出すと事態を逆転させる程度の能力」で、レミリアの能力は「運命を操る程度の能力」。サグメは「貴方はもう運命から逃れられないわよ」と言ったこともあります。つまり、この二人はどちらも運命に関する能力を持っているのです。

名前

 「十六夜咲夜」という名前ですが、これを「十六夜昨夜」と解釈すると、十六夜の一日前、すなわち満月を表しているというものがあります。他にも、く綺麗なものといえば満月ではないでしょうか。

また、咲夜という名前から木花咲耶姫コノハナサクヤヒメ)を連想することもできます。木花咲耶姫は山の神様と同等に扱われることがあり、祀られる神社として富士山の浅間神社などが有名ですが、富士山といえば東方では蓬莱の薬を飲んで不老不死となった、藤原妹紅を連想することは難しくないでしょう。ここにも月との関連性が現れています。

他にも、此花咲夜姫は燃え盛る火の中でお産をした伝説が有名です。これは時間の流れを遅くしたからと考えれば納得できるのではないでしょうか。

また、妹紅に関連して説明すると、咲夜は妹紅の登場する永夜抄EXで主人のレミリアに対して不老不死となることを断っています。咲夜は断った理由を断言しませんでしたが、これは咲夜を元月の民と想定すれば、本来禁忌である蓬莱の薬を間接的に摂取することに抵抗があったからと考えられるのではないでしょうか。

そして、「十六夜咲夜」という名前はレミリア命名したものですが、この名前は漢字が多く使われています。月の民の名前も、例えば「八意永琳」であったり、「綿月豊姫」であったり、「嫦娥」であったり、漢字が多いですよね。「咲夜の名前が偶然漢字なだけだろ」と思った方もいるかもしれませんが、思い出してみてください。レミリアらの住む館は「紅魔館」であり、西洋風の館なのです。

紅美鈴のような、もともと中国風の人物であるがために漢字が使われているキャラクターはいますが、基本的には「パチュリー・ノーレッジ」や、「フランドール・スカーレット」といった風に、カタカナの名前のキャラが多いです。メイド長(メイドは西洋文化である)として雇う予定の人物に対して、なぜ漢字という西洋とはかけ離れた概念の名前レミリアはつけたのでしょうか。
私は、これを「レミリアが咲夜を元月の民だと見抜き、あえて月の民風の名前をつけたから」と推測します。運命を操るレミリアなら、咲夜の過去の運命を見ることができたと考えてもおかしくはないですからね。

種族

咲夜の種族は人間。信じられないかもしれませんが人間です。10代後半を自称している人間です。ここで、紅魔郷のおまけ.txtのファイルを見てみましょう。

5面ボスです。メイドで、10~20年程人間をやっています。

 10~20年程に人間をやっていると見れば、咲夜は10~20歳の女性なんだなというのが当然のように思えますが、実はそうとは限りません。なぜなら「人間をやる前に他の種族をやっていた」という可能性がこの文脈からは読み取れるからです。

直前のパチュリーの説明では大体100年は魔女をしていると書かれているし、直後のレミリアの説明文では500年程お嬢様をしていると書かれているため、単に合わせただけと考えることもできますが、咲夜だけ群を抜いて若いという関係上、人間の前にやっていた種族があると考えても良いのではないでしょうか。

もちろん、それで前に月の民をやっていたという明確な根拠にはならないですし、第一そう簡単に種族を変えられるのかという疑問も生じますが、ここまで説明してきた他の根拠やレミリアの能力を考えればあながち間違いではないのかな、と私は考えます。

会話

ここで、咲夜に関するゲーム中での会話を2つ取り上げてみましょう。まず1つ目は、永夜抄6Bで輝夜が発した台詞。

輝夜:月は地上に様々な力を与えた。魔法のような力の殆どが、元々は月の力。あなたのお仲間にも満月頼りの者もいるんじゃない? そこな吸血鬼さん。

この「お仲間」は、パチュリーだと考えるのが率直でわかりやすいですが、あえて「月頼り」ではなく「満月頼り」といっていることから、「お仲間」とは名前で満月を表している咲夜のことも言っていると考えることができます。時間停止が満月頼りならば、当然咲夜と月には強い関連性があるといえます。

そして2つ目。永夜抄EXでの有名な台詞です。

レミリア:そう、咲夜も不老不死になってみない? そうすればずっと一緒に居られるよ。
咲夜:私は一生死ぬ人間ですよ。大丈夫、生きている間は一緒に居ますから。

咲夜は「一生死ぬ人間」と発言していますが、なかなかに癖のある表記です。生と死の境があるからこそ、我々はこの台詞を不老不死の否定という意味だと捉えることができますが、少し見方を変えてみましょう。

人間は生を重視します。だからこそ「一生(は)生きない人間」という表記に違和感を持ちません。ですが、月の民からの視点ではどうでしょう。月の民は穢れを何より嫌います。つまり、死の存在を大きく捉えるのです。ならば、月の民は「一生死ぬ人間」という死を大きく捉えた表現に違和感を持たないのではないでしょうか。ただただセンスのある返しをしただけかもしれませんが、私はこの台詞が「月の民だった頃の根強い価値観」を表していると考えます。

設定

ゲーム中で語られない所での月との関連性はあります。例えばテーマ曲。咲夜のテーマ曲は「月時計~ルナ・ダイアル思いっきり月と曲名に入っていますね。

他にも、一部スペルカードでの演出で、彼女は能力を使用すると目が紅くなるという演出があります。これは、月の狂気にあたると目が紅くなるというのと似ていますよね。咲夜が月の狂気で狂わないのはレミリアが鍛えたからと語られていますが、それでも目が紅くなるということは、「狂っていないだけで月の力を使っている」ということではないでしょうか。

また、生まれが幻想郷ではないというところも、月の生まれであることの後付けになると言えるでしょう。

疑問点

ここまで月との関連性を挙げてきましたが、疑問が生じる点も多くあります。例えば、ジャック・ザ・リッパーとの関係性や、紅魔館で働くようになった理由ヴァンパイアハンターとの兼ね合いなどです。これについても話してしまうと、それだけで記事が数本書けてしまうので今回は割愛します。が、何も説明しないというのも納得いかないと思いますので、私の持論としての咲夜の過去を簡単にまとめさせていただきます。

持論

 元々咲夜は月の民だったが、何らかの理由で記憶を消された状態で地上に落とされる。地上では初めて見る死への好奇心から殺人を繰り返し、ジャック・ザ・リッパーと呼ばれるようになった。とある経緯で吸血鬼退治に行ったが、レミリアに敗北、過去の運命を見通され、「名付け」などといった運命を決める行為をされ、咲夜の運命が変化、紅魔館で働くようになった。

 以上が私の持論です。いかがでしょうか。

結論

さて、ここまでをまとめると、咲夜と月には大きな関連性があり、咲夜が元月の民だと考えてもおかしくはないというものでした。

もちろん、作品中で語られていないので断言できるものではありませんし、いかんせん謎が多いキャラなのでそれぞれの人の解釈があると思います。あくまでこれは私なりの根拠と持論にもとづくものであって、こうだと決めつけるものでは一切ございません。そこはご理解いただければなと思います。が、この私の持論が読者の皆様にとって納得できるものであったらそれは当然嬉しいですし、「こういう考えもあるんだな」程度に覚えておいていただけたら幸いです。

それでは今回はこの辺で。ここまで読んでいただきありがとうございました。